アントニオ・ロペス展

指先に描くものを集めて画面にのせていく。

静かに拾われた人体や風景のカケラは空気感を含んで
目の前の絵画になる。
当たり前に佇む人物の彫刻作品は美しい。
真っ正直なリアリズムを体感。いま呼吸している,
と思わせてしまう,さり気なさがとてもよい。
映像で流れる制作風景のアントニオ・ロペス氏の表情は
口に笑みを浮かべ探求を楽しんでいる。
作品を見た後、気持ちよく風が身体の中を吹き抜けて行く。
自分が透明な枠組みみたいに。
描写の技術をみて感じ入りながら,
構図や形をとるための線や点,時折さらりと張り込まれた
コラージュが一体となっている,
時の経過に瑞々しさを織り込んだ表現に,
すっかり気持ちがすっきり。